1999.12.24
神経伝達物質


1.アルコールと脳

アルコール
GIRK イオンチャンネル
Gタンパク制御 内向き整流性カリウムチャンネル

アルコールがチャンネル開放
カリウムイオン流出
→神経細胞の活性が低下
2.薬物と神経伝達物質

 1950年代 4つの薬物
2つ  精神分裂病治療薬
2つ うつ病の治療薬

  ○分裂病治療薬  レセルピンとクロルプロルマジン
       ・レセルピン    古代ヒンズー教徒  不眠症・狂気の治療に用いる
                 Rauwolfia serpeninaという植物から
                 
                 高血圧の治療に使える→ 
                 スイスの製薬会社  有効成分レセルピンを抽出
           1954年  米国 精神医学者クライン  精神分裂病患者に飲ませる

                 脳内のノルアドレナリンやセロトニンの量を低下させ、
                 モノアミン類が神経伝達に使われないようにする

       ・クロルプロマジン  
          1950年代  抗分裂作用があること発見
         1950年  フランス ローヌプラン研究所で合成
                   ヒスタミンのアンタゴニストに似ているので合成

                 抗ヒスタミン作用と鎮静作用
               フランス 神経外科医 ラボリ
                  クロルプロマジン 患者をリラックスさせ、麻酔効果高めると考える
                  鎮静効果あり→精神病患者の動揺抑える?
               精神分裂病患者  鎮静効果あり、幻覚抑える

          スウェーデン 薬理学者  カールソン
             ラットにレセルピン 投与
               →脳のモノアミン量 減少
             クロルプロマジン 投与
               モノアミン量 変化しない
               →尿中のモノアミン分解産物測定 ドーパミンの分解産物量  低下
                ドーパミンのアンタゴニストとして働く
                  →補充するためにドーパミン 多量に放出
        レセルピン・・・・小胞内のモノアミントランスポーターに結合、ドーパミン作用ブロック
                 ドーパミンが小胞内に入らない、放出されない  ドーパミンの欠乏
          クロルプロマジン・・ドーパミン受容体に結合

        ○レセルピンとクロルプロマジン  ドーパミンによる神経伝達 低下

○ イプロニアジドの発見
     初め、抗菌剤として開発   結核治療中の患者の気分を一変させる
       うつ病に効果

          モノアミン不活性化に関与する モノアミン酸化酵素(オキシダーゼ)の活性阻害
               →うつ病は モノアミン神経伝達物質の作用を長引かせれば 治る可能性
                 モノアミンの不活性化を遅らせる
○ イミプラミン
      精神分裂病の薬めざす→クロルプロマジンに似ている  スイス製薬会社
      分裂症状には効かない
      抗うつ作用あり
モノアミン神経伝達物質のシナプス作用を持続させる
      米国 生化学者 アクセルロッド  1970年 イミプラミンの作用メカニズム
           モノアミン神経伝達物質の生合成と分解
          モノアミンは放出した神経終末から再び取り込まれることにより終結する
          →アミンはシナプスから取り除かれる  受容体に結合しない

       イミプラミンは再吸収経路をブロック
       →モノアミン神経伝達物質のシナプス効果 延長される

   ノルアドレナリン、ドーパミン、セロトニンを選択的に再輸送するシナプス前膜上のタンパク質 発見
   3つの輸送系はいずれもイミプラミンにより阻害

3.薬物と精神疾患

○幻覚剤リゼルギン酸ジエチルアミド(LSD)
麦に感染するカビから抽出した物質を有機修飾
幻覚作用は偶然 発見
合成中に誤って飲む
幻覚作用  周囲の物体のゆがみ・鮮やかな色彩を伴う幻覚症状
化学構造
        インドール環を基本
セロトニンと類似
   神経性毒キノコにふくまれるシロシビン
     合成幻覚剤 ジメチルトリプタミン    にも存在
  セロトニン受容体に作用
        
  アンタフェミン
       カテコールアミンの分泌促進
モノアミンオキシダーゼによる分解抑制
       シナプス再吸収抑制
カテコールアミンの伝達作用 増強
○ドーパミン受容体
  D1とD2の2種類 存在 
     各薬物のそれぞれの部位への結合度 異なる
       ハリペロールはD2への結合度 強いが D1への結合度 弱い
       クロルプロマジンは D1とD2の両者に強く結合する
          抗精神病はD2の阻害によるもの

          cAMP濃度 上昇作用阻害
          D1とD2がそれぞれ特異なGタンパク質を活性化
  D1受容体にドーパミンが結合   cAMP合成促進するGタンパク質が活性化
  D2に結合   cAMP減少させる別のGタンパク質活性化

  ハロペリドール   D1受容体への結合能力 低い
  クロルプロマジン どちらにも結合するが、D1 を抑制
          ドーパミンによるcAMPの上昇 抑制

○不安神経症治療
  ベンゾジアゼピン系
      アルプラゾラム、 ジアゼパム
   抗不安作用

   ガンマアミノ酪酸 (GABA) 受容体の調節部位に結合
   GABAの抑制効果 増強   不安な感情 軽減

    ベンゾジアゼピン 
GABA受容体の5つのサブユニットのうち、直接GABAが結合するのとは別のサブユニットに結合
        →受容体のGABAへの結合能 上昇
        →塩素イオンの流入増える  シナプス後膜 抑制される   抗不安作用

 ジアゼパム・・・・ベンゾジアゼピン結合部位に対するアゴニスト
    別の治療薬
     RO-15-1788  ベンゾジアゼピン結合部位に結合 ジアセパムの結合阻害、
GABAの結合に影響及ぼさない ・・・・アンタゴニスト 4. 神経系の働き


○神経回路
  基本型
     発散、収束、多重回路、回帰性結合、側抑制、相反性結合
○中枢神経系
脳は一本の神経管から
(前方)終脳・間脳・中脳・後脳・髄脳
あとは脊髄へ
 脳と脊髄
・脳
大脳
新皮質
          感覚野・・・視覚・聴覚などの中枢
          運動野・・・随意運動の中枢
          連合野・・・記憶・思考・理解などの精神作用の中枢
古皮質、原皮質など大脳辺縁系・・・食欲・性欲  本能の中枢
                         怒り・恐怖などの感情の中枢

     間脳・・・自律神経の総合中枢、物質代謝・体温調節の中枢、感覚神経の中継場所
     中脳・・・姿勢を保つ中枢、眼球運動や瞳孔を調節する反射中枢
     小脳・・・からだの平衡を保つ中枢(鳥類・魚類で特に発達)
延髄・・・心臓の運動・呼吸の運動を支配する中枢、消化液・涙の分泌の反射中枢
          脳と脊髄を連絡する神経が交差
   ・脊髄・・・外側が白質、内側が灰白質(H字形)
背根(後根)から求心神経が入る
          腹根(前根)から遠心神経が出る
        脊髄反射の中枢

・生きている状態にする脳(植物的)   脊髄、脳幹系
・たくましく生かす脳(動物的)     大脳辺縁系、視床下部
・うまく生かす脳(創造的)       大脳新皮質
      脳幹=延髄、橋、中脳
      呼吸、循環、消化、歩行  基本的な中枢

○末梢神経系
 脳神経と脊髄神経
  ・脳神経
       嗅神経(大脳)、視神経(間脳)、動眼神経(中脳)、顔面神経(延髄)、
       聴神経(延髄)、迷走神経(延髄)
・脊髄神経
         仙椎神経、腰椎神経、胸椎神経
 
  興奮伝導の経路
○感覚器→大脳
   皮膚感覚        感覚神経を経て背根から脊髄へ入る
       交差
       反対側 脊髄白質を 上昇

5. 反射

反射・・・刺激に対して無意識に起こる反応
反射弓・・反射時の興奮伝達経路
       大脳を経由しない
刺激→受容体→求心神経→反射中枢→遠心神経→作動体→反応
反射中枢・・・脊髄、延髄、中脳
・脊髄反射
  膝蓋腱反射
  屈筋反射(熱いものに触れると思わず手を引く)
・中脳反射
  眼瞼反射(目の前にものが飛んできたとき、まばたきする)
・延髄反射
  唾液分泌反射(食べ物を口に入れると唾液が出る)